『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎著

※ネタバレ注意

 

舞台はおそらく近未来の仙台。

タイトルに「火星」は付いていますが、そんなに火星は関係ないです。

平和警察と呼ばれる警察のテロ対策部門のような部署が

治安を守るためにという名目で危険人物を処刑していくのですが、

危険人物とはいうものの実際にはただの一般市民で、

少しでも危険だという噂が立ったら証拠もないまま処刑されるという理不尽が

横行しているという世界。

それに立ち向かうためにフルフェイスのヘルメットをかぶり黒のツナギを着た

一人の人間が武器となる黒い玉と棒を駆使して戦うという話。

 

彼は、全員を助けることはできないので偽善ではないかと自問しながらも

自らの辛い過去から覚悟を持って割り切っています。

主人公はその彼ともう一人いて、彼が起こした平和警察に対する反抗事件を

明らかにし、犯人を捕まえようとするその警察の一人です。

どの立場も正義をかざしていますが、

平和警察の掲げる正義はどう考えても行き過ぎており、

独裁国家のやり方に近い気がしました。

それよりかは身近なところを守ろうとする正義の方が

容易に想像できて「正義」だと言えるような気がします。