『「国境なき医師団」になろう!』いとうせいこう著

国境なき医師団の内部事情を著者が現地で取材して書き記した著書。

まず、海外では「国境なき医師団」と言っても通用せず、

フランス語の正式名称の頭文字を取って「MSF」という。

MSFの海外派遣スタッフ(エクスパット)のうち、

医療スタッフが53%、非医療スタッフが47%となっており、

何とノンメディカルが半数を占めている。

日本だけでも2019年時点で300人程のアクティブな人材が登録していて、

約半数の人が海外派遣に出ているという。

MSFになるには採用試験を通らなければならないのだが、

資質としては異文化への対応力とチームワークが求められる。

それとチームリーダーとして働いた経験とストレスマネジメント力。

実際、MSFで働いている人の中には

外資系企業やコンサルティング企業で働いたのち、

「自分は何のために働いているんだろう」と疑問を抱くようになってMSFに入った人や

医師国家試験を受けようとしている時に、

「損をする方を選びなさい。そして一番弱い人たちのために働きなさい」

と言われてMSFを目指すようになった人たちがいる。

皆さんきっかけは色々あるにしろ、MSFの気高いポリシーに

共感して働きたいと思う人たちであり、

自分はこのようなことのために生きることができるのかと

自戒の念を抱きました。

「活動が楽しいと感じるかぎり僕は現場にいるよ。キャリアを上げようとはまるで

考えていない。現場を離れて何が面白いんだい?」

と語る彼らに自分は追いつけるのだろうか。

自分も現場を大切にして自分の生きがいを見つけたいと思います。