『キネマの神様』原田マハ著
40歳を前にした大手ディベロッパーに勤めるキャリアウーマンが退職して、
ギャンブル好きで映画好きな父親が映画サイトに娘の文章をたまたま投稿したのをきっかけに
その映画雑誌の会社に社員としてスカウトされる。
さらには実は本当にスカウトしたかったのは父親自身が書いた文章の方だったので、
父親がブロガーとして「キネマの神様」と題された映画サイトに投稿することになる。
そのサイトで英語訳した父親の投稿に噛み付いてきた
アメリカの「ローズ・バッド」と名乗るブロガーとのやりとりが過熱して
そのサイトは一気に人気が上がる。
実はこの「ローズ・バッド」はアメリカの著名な映画評論家だった。
最後、この映画評論家が末期のガンで入院してしまい、
父親たちがアメリカに会いに行こうとする直前に映画評論家は亡くなってしまう。
彼からの手紙の中に記された人生最良の映画は『ニュー・シネマ・パラダイス』。
父親を含めた主人公一家と映画雑誌会社の仲間たちと一緒に
閉館の危機をブログサイトに救われた名画座で観に行くところで話は終わる。
著者が映画好きなことがよくわかるのが、
途中何度も出てくるブログサイトの中の映画評論。
映画を深く愛しているからこそ映画を二人のブロガーの立場からの議論という形で
評論させている。この部分が一番面白かった。