『入門 起業の科学』田所雅之著

コンサルやベンチャーキャピタルで勤務経験のある著者が

スタートアップについて記した『起業の科学』の入門編。

起業するにあたって、「スモールビジネス」と「スタートアップ」は異なる。

スモールビジネスはすでにある事業を小さく始めるもので初めからある程度収入が見込める。

一方、スタートアップは道無き道を自ら切り開き、初めは赤字だが、その後、爆発的に

売上を上げるようになって、短期間で巨額の利益を上げるビジネスモデルのこと。

本書は後者について書いた本である。

スタートアップではまず、アイデアの磨き込みが必要になる。

そこで、最初にビジネスモデルの原型ともいうべき最善の仮説を立てる。ここで、顧客の

どのような課題の解決につながるのかを明らかにする。

市場を注意深く観察すれば、ユーザーが既存の製品に不満を持ちつつも、

仕方なく使っている領域がある。

そして、そのビジネスモデルを「なぜあなたが、それをするのか?”Why you?”」について

答えられるような強い思いを持つことも重要になる。

ビジネスモデルの検証をする際に、「PEST分析」をすることが有効である(Politics,

Economy, Society, Technology)。最近の技術動向を探るには米調査会社ガートナーが

毎年発表する「ハイプ・サイクル」を見ることがお勧めである。

効率よくアイデアのヒントを集めるにはYCが開催するデモデーがお勧めである。毎年、

最先端のスタートアップが世界から集う舞台である。

スタートアップでは同じ起業家とフェイスブックで人と繋がることが仕事ではなくて、

顧客や一緒に仕事する仲間といった人脈を広げることが重要になる。

また、スタートアップにとって成功するための正攻法は「市場規模が小さく成長性の高い

領域で戦うこと」である。

ビジネスモデル構築では、人間の泥臭い部分、コンピューターでは予測が難しそうな部分を

起業家が理解しようと努めない限り、データとにらめっこしたところで答えは見えてこない。