『遣灯使』多和田葉子著

国立市にゆかりのある著者が全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞した本作。

震災後の日本のデストピアの中で生きる人々を描いたSF小説である。

こんな表現の仕方があるんだと言うくらい、表現が独特な部分があり面白い。

例えば、喜びを表現するのに、「心の爆竹を鳴らしながら、春先のウサギのように

飛び跳ねる」。笑いが湧き上がる様子を、「子どもたちの足の裏から笑いがブツブツ

沸き起こって、教室中が沸騰したお湯のように騒がしくなった」。

どちらも独特な表現だが、言い得て妙と言う感じがする。