『白隠善師 健康法と逸話』直木公彦著

座禅を組み始めて2週間くらい経った頃だろうか。目眩と頭痛がするようになって、

調子が悪くなったと感じたので座禅をやめた。

調べるとどうやら「禅病」と言うのがあるらしいと分かった。

そして、白隠という高名な僧がかつてその禅病を患っていてそれを克服したということを

知った。たまたまお寺の坐禅会で読経していたのが、白隠の「坐禅和讃」だったのもあって、

この僧の禅病克服方法を知りたいと考え、本書を手にした。

それによると「軟酥の法」と「内観の秘法」というのが有効であるとのことだった。

詳しいやり方についてはここでは述べないが、どちらもやってみて

軟酥の法よりも内観の秘法の一部が自分にはあっているのかもと感じた。

ただ、それ以上に本書を読んで、悟ると言うことは決して仏門に入って修行を積むこと

によるだけではないのだと言うことを思った。

実際、白隠は生臭坊主とは言わないが、どちらかと言うと人間らしい部分が強い人で

共感を得られやすい人であるように読めた。悟りとは人間の真実真情そのものであるのだ。

ちなみに、これは白隠ではなく、沢庵和尚の言葉らしいが、回復するためには

「身もだらり心もだらりアレだらり」の三だらりで回復力を得ると言うことらしい。

上半身を空っぽにして下半身に気力を充実させることが重要である。横隔膜を下げて、

下腹部に力を入れることで精神的に緊張を与え、精神的に落ち着きをもたらすとのこと。

心と息は一体のもので、心が乱れれば、息も乱れるのである。

知識ではなく、行動によって体感することが大事であるとも感じた。「実行無くして

実効なし。実行のみよく実効を産む」と言うことだ。

「あなたはあなたの主人公であるとともに、あなたはすべての主人公です。ご自分の心を

大切にしなさい。心を大切に守り養い、立派に育てなさい。心こそ内外神霊の力を発揮する

生きた道具であります。心を傷つけたり、汚したりすることを防ぎなさい。ご自分の心を

正しく守り、強く生き抜くことは、普段考えている以上に実に重大なことであります。」

衆生本来仏なり」