『最強の経営者』高杉良著

1980年代後半、当時「夕日」ビールと揶揄されたアサヒビール

スーパードライの成功などによって再生させた樋口廣太郎社長(当時)の

奮闘を小説にした作品。

元々、樋口氏は住友銀行の副頭取。

アサヒビールの社長に就任するにあたって、住友銀行で退任の挨拶の際に、

「私は死んだものと思ってください。香典が欲しい。その香典で今すぐアサヒビールを買って下さい。香典返しはビールです。」

と述べたという。

随分思い切った内容の挨拶だとは思うが、それほど、

社長就任への想いは強かったのかもしれないです。

 

また、社長朝礼と称して毎月全社員に話をする中で述べていた話で

印象に残っていた話があります。

「皆さんが当社に入社した時には誰しも希望に燃えていたはずです。だが、現実の様々な壁にぶつかっていくうちに意欲が徐々に萎えてゆき、逃げの姿勢になるんです。他人への責任転嫁はそうしたところから始まるのです。」

仕事に対する情熱はやはり忘れてはならないし、

常に持ち続けていなければならないものだと改めて認識しました。

 

さらに、樋口氏は経営の基本を次のように考えていたようです。

①経営とは顧客の創造であり、そのためにリスクに挑戦していくこと

②大きな会社になる事ではなく、良い商品を生み出すエクセレント・カンパニーを目指すこと

③利益責任は社長が負い社員には夢を持って働いてもらうこと

まさに当時のアサヒビールが体現していた事ではないでしょうか。