『信長の原理』垣根涼介著

垣根氏の本は『室町無頼』を読んで以来。

今回は戦国時代が舞台ということで、内容が濃いこともありましたが、

『室町無頼』よりも格段に筆致が素晴らしくレベルアップしているように思いました。

 

主人公は信長ですが、所々信長の家臣へと第一人称が移ります。

原理というのはアリが2割が積極的に働き、2割が怠け、残り6割が日和見である

というもの。これが兵の戦の時の働き具合にも当てはまり、

行政含めた官の働き具合にも当てはまると考えるのが信長。

つまり、8割は信長のために働いたとしても2割は信長を裏切ると考えたのです。

 

光秀が最後、裏切ることになるわけですが、

そこにも事情があったように描かれています。

信長を裏切る作戦は立てていたものの、裏切るつもりはなく、

しかしそのことを自分の複数の家臣に語ってしまったために

裏切らざるを得なくなったということ。

 

果たして、信長は自業自得と思っていたのでしょうか。