『鑑定士と顔のない依頼人』
2013年公開のイタリアのサスペンス映画。
主人公は歳をとった鑑定士の男。オークションの司会もやっている。
ある時、若い女性の依頼人から家の物の鑑定をしてほしいと頼まれる。
鑑定士が依頼人の家に行くと、依頼人は隠れて正体を表そうとしない。
鑑定士はその顔が気になって、こっそりと依頼人の家に潜んでついに顔を見る。
すると若くて美しい女性であった。
鑑定士はすっかり虜になってしまい、仲良くなって、ついには結婚までしてしまう。
しかし、結婚の直後、鑑定士が家に帰ると、それまで大事に隠し部屋に飾っておいた
女性の肖像画が全てなくなっていた。
依頼人やその周辺にいた人たちが皆でグルになって、その鑑定士を嵌めたのだった。
鑑定士はすっかり意気消沈してしまい、一人、レストランで食事をするところで終わる。
鑑定士がかわいそうな結末ではあったが、途中のセリフで、
「贋作の中のどこかに、贋作師のサインやクセなど本物が込められている」
というセリフがあり、騙した依頼人の女性が鑑定士と恋に落ちていた風に装っていた中にも
どこかに本当の愛があったのでは、と思わせるところがあったのだ。
そうだとしても、何とも切ない終わり方だった。