『VOICE OF BLUE』高内春彦著

ニューヨークの現場で演奏してきたプロギタリストが

実際にアメリカの錚々たるミュージシャンとのエピソードを交えながら、

ジャズ史について語った本。

まず、アメリカのジャズのメインストリームは

今もデューク・エリントンであるようだが、

そのエリントンの功績はブギウギを一般的にしたことだそう。

これはスウィングの原点となるリズム。

スウィングとは4ビート。

8ビートはロックなど。

16ビートはファンク。

エリントンやベイシーなど、多くのスウィング時代のバンドが

緻密に気づきあげてきたハーモニーを素地に、

パーカーやディジーが新しいチャレンジをし、新しい音楽を作ってきた。

それがビバップ

ビバップではそれまでのジャズのような踊れる音楽ではなく、

遅かったり速かったりするジャズが生まれた。

そのテンポの広がりをさらに発展させたのがマイルス・デイヴィスだった。

その当時に現代的なドラムスのセットも出来上がったのだとか。

ポスト・ビバップになるとマイルスのクールなどが出てくるが、

レッド・ガーランドのハーモニーが特徴的で、

ビッグバンドをピアノ1台で表現していると言えるような

サウンドを持っていたのだと。

その後、ビル・エヴァンスが出てきてモダン・ジャズでの究極の

ハーモニーやリズムのアイデアを聴かせるのだと。

また、コルトレーンも作曲家として優れており、

"Giant Step"は過去の作曲家たちの仕事を徹底的に研究して行き着いたものらしい。

歴史の他、観光的な目線でアメリカとジャズについても語っている。

まずNYのジャズを観ようと思ったら、ヴィレッジ・ヴァンガード、スモールズ、

55bar、ジャズ・スタンダード、イリディウム、スモーク、ブルーノートといった

クラブのスケジュールをチェックしようとのこと。

ラスヴェガスやアトランティックシティはカジノの街としても有名だが、

エンターテインメントの街でもあるので、ここもジャズ・シティ。

ニューオリンズもジャズ発祥の地としてディキシーランド・ジャズが

観光資源になっている。

ボストンもバークリー音楽院があり、音楽の街として独自の発展を遂げており、

ブルージーなジャズよりもっとECM的なコンテンポラリーなジャズが盛ん。

アメリカに行ったら、ジャズをいろいろ聞いてみたい。