『頑張らないジャズの聴き方』富澤えいち著
ジャズの歴史からジャズの聞き方に至るまで、
ジャズの名曲を紹介しながらまとめた本です。
ジャズの入門書なので、例えば、入り口としてはピアノトリオが良いそうです。
メロディのピアノとハーモニーのベースとリズムのドラムスを基本形とする部分を
一曲の中で聴き分けられるようにすることがジャズの第一歩だとのことです。
ジャズの歴史としては、1917年ごろにアメリカ南部の主要港だったニューオーリンズの街で流行していた音楽が全土へ広がり、ジャズと呼ばれるようになりました。バディ・ボールデンというコルネット奏者が当時流行していたラグタイム(ブルースを基本としたゆっくりとしたリズム。スコット・ジョプリンの「エンタテイナー」。)にヨーロッパ室内楽などの音楽要素を織り交ぜながら独自の音楽を作っていきました。
1930年代になると世界の中心となっていたニューヨークを舞台に民衆が気軽に踊って楽しむためのBGMであるスウィングと呼ばれる花を咲かせました。
1940年代に差し掛かる頃にはスウィングを演奏していた演奏者たちが、ダンスホールでは披露できなかったことをアフターアワーズで立ち寄った店で試すようになります。ニューヨークのミントンズ・プレイハウスでセロニアス・モンク、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスビーといった面々が決まり事を減らした演奏をするようになり、ビバップと名付けられます。
1950年代、ビバップをルール化(16小節、32小節のテーマメロディがあり、その後に楽器ごとのアドリブがあり、一巡したらテーマメロディに戻ってエンディングを迎える)したものをハードバップと呼ぶようになります。一方でアドリブに頼りすぎるビバップは演奏の出来不出来の差が激しく、その弱点を是正するためにアドリブパートで勢いに任せずに抑えた演奏をするようになるのを、それを始めたマイルス・デイヴィスの「クールの誕生」になぞらえてクールジャズと呼ぶようになります。
1960年代はモード(旋律)に沿ったアドリブ演奏を取り入れたモードジャズ、ハードバップの枠組みを残しながらも全部の音を使ってやるフリージャズ、ハードバップを継承してブルースやゴスペルといったアフリカンアメリカン文化を取り入れたファンキージャズなどのように多様化していきます。その後はフュージョンと呼ばれるエレクトリック化したジャズが広まっていきます。
1980年代に再びアコースティックなジャズを見直すようになった流れがある中で1990年代はクラブDJがサンプリングやリミックスといった手法を用いてジャズを見直すようになります。
そして21世紀はジャズはアメリカだけのものではなくて北欧を中心としたヨーロッパなど全世界へと広がるようになります。
このようにジャズの歴史もジャズを聴くためのベースの知識として一つ持っていてもいいのかもしれません。